Differential Technology Development(DTD)とは何か?
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from 2023/12/16
英語: differential technology development(DTD)
日本語: 現時点でこの文章が"differential technology development"について言及する初の日本語であり、訳は存在していない。
強いていうなら「差分的技術の開発」??tkgshn.icon
定義
新しいテクノロジーを開発すると同時に、それを制御する技術を開発すること(開発順序に気をつける)でリスクを減少させる手法
「技術とどう向き合っていくか・どう制御するか」というガバナンスの戦略の一つである
より易しい言葉で説明するなら、「技術の悪影響を軽減できるタイプの技術」である
Vitalik Buterinによる「My techno-optimism」も参照
技術自体は有益にも、有害にもなりうる。技術の発展自体を阻害するのはある種のラッダイト運動になるが、この手法は有益さを受益しつつ、リスクを最小限にするためにはどうすればいいか という立場な点で漸進的である
具体例
安全技術:既存の技術をより安全なものに改良する。
https://gyazo.com/7d5cac34983af2b3441aed215b9b3607
核兵器のアクセス制御セキュリティ装置、自動車排ガス浄化触媒など
防御技術:リスクを増大させる技術に対抗する。
https://gyazo.com/32026ceb3cc6112d287af66ed40683e2
パンデミックに備えた遠紫外線の殺菌装置
代替技術:リスクの高い技術をリスクの低い技術に置き換えること。
https://gyazo.com/f89998aaa00a479431ff59e850017602
石炭の代替としての原子力発電所
画像はDifferential technology development: An innovation governance consideration for navigating technology risksより引用
歴史的変遷
このアイディアはオックスフォード大学に所属する哲学者のNick Bostromによって2002年に提唱された
Existential Risks: Analyzing Human Extinction Scenarios
実存的リスクに対する対策の1つとして、differential technology developmentが提唱されている。要約すると以下のようになる: tkgshn.icon
技術の進歩を追い求めていった結果、その技術(核兵器, ナノテクロボット, 人工知能)を人間にはコントロールしきれなくなったら大きな被害を被ることになるかもしれない。技術開発によって得られる利益もあるが、その技術を負の方向に使った場合の対策が不十分である。
危険な技術の開発を防ぐことは難しすぎるかもしれないが、危険な技術に比べて保護的な技術の開発を早めることで、存続的リスクを減らすことはできるかもしれない
参照
https://en.wikipedia.org/wiki/Differential_technological_development
https://nickbostrom.com/existential/risks
https://www.ajkourabi.com/writings/what-is-differential-technological-development
https://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=4213670